夢景色

子どもの頃から夢をよく見る。すごく見る。
ストーリー性があるものから、色彩が眩い夢、何度も夢で見る景色、夢と分かって自ずから目を覚まさせたこと、など夢についてを話せば一晩や二晩では足りないほど*1

子どもの頃から本当に色んな夢を見てきて、ここ最近夢に新たな変化が生まれているのです。

蛙に乗って帰る夢。
鯖をさばく夢。


と。
ええ、駄洒落です。


夢の中ではそれと気付かず、蛙を乗りこなすことが出来なくて「帰れないよう」と弱気になっていたり、鯖を真剣な眼差しでさばいていたりして、眼が覚めて夫にあのねと話してようやく気がつくのです。

そんなある日、鯖からゴマフアザラシが産まれる夢を見た。
水揚げされた鯖の口からゴマフアザラシがすぽんと産まれて、海に帰ってゆくのをどこかの港で見ているそんな夢。
海の中を気持ちよさそうに泳いでゆくアザラシを見るや、言いようのないときめきを覚えて「どうしてですか」と漁師さんに尋ねると、「鯖がゴマフアザラシの卵を食べちゃうんだよね、それが鯖のお腹でかえっちゃうんだよ」と説明された。
なんて素敵なの!と近くに揚げられている鯖のお腹を試しにぎゅっぎゅっと押してみたけれどしかしアザラシは出てこず。すると漁師「まあ、珍しいことだから」と言い置いてあっけなく立ち去って、私は残念な気持ちと、ファンタジーを垣間見たふわふわした気持ちの間で漁場に立っていた。






とりあえず、その翌々日の昨日、スーパーで何かのお告げやも知れぬと鯖を買ってみた。
なんとなく、なんとなく、どういうわけかあれも駄洒落絡みだったような気がしてならなくて、でもそれらしい所見は見当たらないし、はてさてと思いながら暮らしていた今日、ふと冷蔵庫の鯖のパックに目をやってようやく気がついたのでした。



スーパーで売られている鯖は大抵、「ゴマサバ」とカタカナで書いてある。
目にするたびに「このゴマって何かしらね」、とぼんやり思っていた心の奥の小さな疑問符がこんな風に夢に、しかも駄洒落を含んで、登場するだなんてまさに人間の脳みその不思議。


一応念のために。
ゴマフアザラシが哺乳類だ、ということは分かっているつもりです。

*1:他人の夢の話ほど退屈なものはないからな、みたいな台詞を何かの小説で読んで、それ以来肝に銘じているつもりなんだけれどでも聞いてほしい夢ってあるもんです。