うわついちゃって、恋。

花火を見にいった。
お家からも見えるけれど、こちらで過ごす初めての夏ですので張り切って現場の海まで。
花火はきれい、とてもきれい。
花火職人の努力の結晶が一瞬で消えるはかなさを見届けるべく、感性の毛穴を全開に広げて全身でえいやと受け止めるつもりで見る。
けれどもけれども、やはしここは夏の一大イベントの現場でもあるわけで、ティーネイジャーたちも夜歩きを許されていて、あっちらこっちらに浴衣を着た化粧気もまだない(あるつもりかもしれないけれど、ない)若いお嬢さんたちが群れているわけですね。
そして、それと同量の若い男の子たちが用意されたように散らばっておるのですね。
なんだかもうっ。
甘いんだか酸っぱいんだか苦いんだかわけが分からなくなるほどもう色々とむんむんで、やる気に満ちていて、つがっていてもその距離がもどかしいやら、車が来たら危険やらの妙さで、ああああっもっとくっつきなさいな!と叫んでやりたくなる有様。
そして目線を合わす事さえほんとうは卑猥なのでしたか、と思うほどつがった彼らの目線はそれぞれに、花火でもなくお互いでもなく、殆ど宙。
ああ、なんだかとってもぎりぎりだ。ぎりぎりすぎてなんだかおしりがむずがゆいや。
そんな恋、上手くいきゃあしないんだ。ははー。
と思えども、頑張って全力で、恥ずかしいことをうんとしておくれ、とも思う。
夏にうわつかなくちゃそんなの嘘だ。
そして、そっちに夢中で花火やごめん。