マダムたち

ミドルエイジからハイエイジまでの優しいマダムたちに囲まれて働いています。
まだまだぴよっ子の私はいつも彼女たちの博学ぶりと溢れんばかりの母性に眼を見開くばかりです。

マグカップに茶渋が付着しているのを見るや、「主婦の味方」(と彼女は呼んでおられた。ホームセンターなんかに売っている洗剤のいらない研磨スポンジ。あれです。)で、あっという間にきれいにして下さり、「喉がこんなであんな感じに痛いのー」と言うと、「それは扁桃腺ね。イソジンちゃんでうがいをなさい」と教えてくれ、「お花が咲かないっ」と訴えれば、「パンジーは花がらをまめにとらないと咲かないわよ。キンギョソウも。ちゃんと茎の下のほうから、こうね、」と身振り手振りを交えて教えてくださいます。
今日なんかは、明らかに読み下すことのできない、象形文字のほうがまだ高尚なのではないかと思うような殴り書きを「これは“変”。これは“坂本”」と、とても冷静に解読されていました。
間抜けな顔で「すごーい」としか言えない私に「ふふふ、凄いでしょう」と微笑む素敵なマダム。心を射抜かれてしまいます。


最高に包容力。
年若い男性たちがつまらなく思えてしまいそうです。
結婚してからマダムたちに出会ってよかった。
未婚だったら「中年女性と結婚したい」と言いだすところでした。