粋な奴

昨日のこと。
 
春のうららに甘やかされた気持ちになりながら、昼休みの食料調達から戻ると、社員用通用口に置かれた古いデスクの引き出しから、なんと自転車のサドルが覗いているのでした。
なんて素敵な非日常!
ソーファンタスティック!
なんだ、なんなの、もしかしてこの陽光に誘われて思わす顔出しちゃった感じ?
これは携帯のカメラ機能の出番ではあるまいか、と思いすぐさま、しかし慎重に(誰かに見られるわけにはいかないのです。女子はみな自分のテリトリーにおけるイメージをとても大切にしているもの)携帯をサドルに向ける。可愛らしいフォーカス音と共にサドルにピントが合って、見事激写。
 
携帯「保存しますか」
わたし「勿論保存します。ぴっ」
携帯「保存しました」
わたし「どうもありがとう。お疲れ様」
 
脳内でのやり取りの後、誰かに見せびらかしたい衝動に駆られるも携帯の充電が切れそうなことを考慮して、大人しく携帯を仕舞う。
昼食の席につき、みんなに言おうかしら、と思ってはみたものの、口頭で「さっき自転車のサドルがそこのデスクの引き出しからのぞいてたんだよう」と言った所でそのインパクトたるや取るに足りないものである上に、諸先輩方と囲む優雅なランチの席にはふさわしくない話題だと社会人6年目を迎えようとしている私は大人らしく悟ったのでした。
 
そして仕事中にパコパコとキーボードを叩きながら、あぁっ!誰かに見せたいっ、と身悶えしそうになっている私に、
「そうだ!ブログに載せなよ」
と私か、携帯か、はたまたサドルの奴か判然としない声が囁いて、早速ブログを立ち上げている次第です。
 
 
 
因みにサドルの奴は私が写真を撮ってあげた数分後、通りかかった上司の左足から繰り出された、切れの良いキックによって再び引き出しの奥へと追いやられてしまいました。
かわいそう。