根無し草のための

金原瑞人さんの翻訳をとても信頼していることと、タイトルが素晴らしかったことで縁があった。

国のない男

国のない男

釣り合うまでに読むべき本がたくさんあることを痛感しながら、でもとても大切に読んだ。

人間というのは、何かの間違いなのだ。

笑ってしまったのは、絶対的にそうだと思っているから。
思っているのに、思っていかんと思うから。
タブーほど真っ直ぐ伝わるものはないのです。

人間が間違いだと思えど、暮らしてゆけるのは日々のささやかな色々が視覚も聴覚も嗅覚も騒がして、間違いをぼかしてくれるから。
風が吹くこととか、何かが鳴るとか、壁があるとか、木があるとか、そんな色々を知覚するのに脳はいつだって小忙しくて、うっかり人間が間違いだということを忘れさせてくれる。

そんなことを改めて感じた、マザーウォーター

何かの間違いだし、なんなら終わってるけど、生きていかなきゃならんしな*1
と、思える映画でした。

ああ、寒の戻りが身にしみる。

*1:勿論、さわやかに、それはもう希望的に。